攻撃的なタレントがそろう両者 優勝候補の一角アルゼンチンの優勢をベルギーが覆せるか
アルゼンチンは、これまでのメンバーから多少の入れ替えがありそうだ。左サイドバックのマルコス・ロホは累積警告のため出場停止。代わりに、ホセ・マリア・バサンタが起用されるもようだ。また、セルヒオ・アグエロは負傷からトレーニングに復帰しているものの、スタメンとしてプレーするのは少し困難な様子だ。また、アレハンドロ・サベージャ監督は、エセキエル・ラベッシに代えてロドリゴ・パラシオを、3トップの一角に加えることも検討しているようだ。
一方、ベルギーは、けが人や出場停止の選手はおらず、ベストメンバーでこの試合に臨む。この両軍、今回で5度目の対戦になる。過去4戦中、アルゼンチンが3勝1敗と勝ち越している。過去のデータが示す通り、今回の対戦に関してもベルギーがやや不利かもしれない。
ここまで、ベルギーはアルジェリア、ロシア、韓国、アメリカと対戦してきたが、独力で試合を決めてしまうワールドクラスの選手は対戦相手にはいなかった。特に世界的なドリブラーとは対峙していない。
ベルギーの最終ライン、及び守備的MFは、身長190cm前後の大柄な選手がそろう。彼らは空中戦や、体格差を生かして選手をつぶすことに非常にたけている。だが、俊敏性の高い選手をやや苦手とする傾向が強い。
アルゼンチンは優秀なドリブラーを数多く擁する。メッシに関しては言うまでもないが、高い突破力と90分間攻撃し続ける持久力を持つアンヘル・ディマリア、一瞬の加速で相手を置き去りにするラベッシもいる。彼らは、一人でシュートまで持ち込むだけでなく、ドリブルで一人はがすことで、マークのズレを生じさせ、そこから決定的なパスを通すこともできる。
ベルギーはセンターバックのバンサン・コンパニーや、中盤のアクセル・ビツェルが彼らに対峙することになるだろうが、対応仕切れるかどうか。ベルギーが失点を防ぐためには必ず向き合わなければならない難問だ。
ベルギーのキーマンはセンターフォワード
では、逆にベルギーが得点する鍵を握るのは、センターフォワードだ。本来、ベルギーの攻撃におけるストロングポイントは、アルゼンチン同様に突破力のあるドリブラーがいる点だ。高い技術、スピード、得点力、その全てを兼ね備えるエデン・アザールの他にも、突破力のあるドリス・メルテンス、縦に強いケビン・ミララス、パワーで強引に前に運ぶムサ・デンベレなど、人材は豊富である。
しかし、アルゼンチンの選手はマンツーマンに強く、簡単には抜かせないしつこい守備をする選手が多い。アンカーには運動量が豊富なハビエル・マスケラーノが君臨し、さまざまなエリアに顔を出して、攻撃をストップする。そのため、ベルギーのドリブラーたちはなかなか良い形でボールを持たせてもらえないだろう。
それ故に、センターフォワードである。今回はロメル・ルカク、デボック・オリギのどちらが先発かわからないが、スピードのある彼らがカウンター時に裏へと抜け出せるかどうかがポイントになる。特にルカクは、スペースさえあれば数的不利でも相手を寄せ付けないパワーも兼ね備えるタイプだ。パサーのケビン・デ・ブライネが、アルゼンチンの選手が戻り切る前に、素早くルカクにボールを出せばチャンスが生まれるはずだ。
トータルではアルゼンチンの優勢だろうが、今朝行われた2試合は想像以上に堅く、セットプレーからの得点のみであった。そうなると巨漢の選手が多いベルギーにもチャンスがあるはずだ。明日は日曜日ということもあり、日本のファンも比較的視聴しやすい時間と言える。ぜひチェックしてほしい一戦だ。
「アルゼンチン対ベルギー」は7月6日0:05~ NHKで生中継される。もし、生で見られない方は、テレビ朝日系列でPM18:56から放送される「2014 FIFA ワールドカップ ウィークリー」を見て頂きたい。試合の模様は勿論、準々決勝4試合のダイジェストを放送する予定だ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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