例えば、予期せぬ気候の変化や寒暖の差で、夜のスタジアムにこのままいるのは厳しい。ちょっと羽織る物が欲しくて店に入る。レジでカードを差し出すと「うちの店ではカードは使えない」と言われてしまう。

　あるいは、小腹が空いてバルに駆け込む。ウィンドウにはうまそうな小皿料理が並ぶ、が、どうも店のシステムはオーダーしたら、すぐに食べ物を受け取り、その場で現金払い。まとめてチェックは不可能らしく、手持ちの小銭がなくて、なくなく諦める。こんなことは旅先ではざらだ。

　その他、駅でカードが使える切符の自販機が壊れている、とか、自分の持っているカード会社に対応していない、なんてこともある。やはり現金は必要になる。そうなると、事前に、あるいは旅先での両替をすることになるわけだが、どうしても不便さは否めない。

　また、庶民からすると両替のレートが気になる。差額が小さかったとしても、「さっきの両替所の方がレートが良かったかも」なんて気になってしまうことも多い。近くに両替所がなくて探し歩くのも、希少な時間を費やすことになる。日本で両替して行くことも出来るが、概ねレートは高めだし、旅先で多額の現金を持ち歩くのも不安である。帰国後、余らせてしまった現地通貨の処理も煩わしい。