歴史的勝利のメキシコが仕掛けた“罠” 王者ドイツを“右サイド”に追い込み背後突く
DFボアテングにボールを持たせ狙い撃ち
前回王者のドイツ代表が、周到に研究した戦術で臨んできたメキシコ代表の“罠”にハマった。データ会社「オプタ」の記録からは、ドイツが狙い撃ちにされたポイントが浮き彫りになった。
この試合、ドイツは前半から右センターバックのDFジェローム・ボアテングから攻撃が始まり、右サイドのDFジョシュア・キミッヒがオーバーラップを仕掛けてMFサミ・ケディラがサポートする場面が目立った。その一方で、本来ならゲームを作るタイプの左センターバックのDFマッツ・フンメルスは効果的なボール保持ができず、MFトニ・クロースもマーカーを振り切ろうとピッチ上を大きく動く形になった。
実際に、前半のボールタッチデータを見ると、メキシコがドイツの右サイドに攻撃を誘導していることが明らかになった。フンメルスのタッチ数が32に対し、ボアテングは54と大幅に多い。さらに、サイドバックを比較すると右のキミッヒが54タッチで左のDFマルヴィン・プラッテンハートは19タッチと、明らかな差がついた。そして、メキシコはボールを奪うとキミッヒが上がった背後のスペースを突いていった。
先制点の場面も、ドイツが右サイドから人数を仕掛けたところでのカウンターだった。この時、キミッヒが上がったスペースに全力で駆け上がり、ゴールを決めたFWイルビング・ロサノに最後のところで対応しようと必死に戻ってきたのは、トップ下のMFメスト・エジルとクロースだった。本来なら中盤の守備を固める強さのあるケディラと上がったキミッヒは、全く守備に参加できないままメキシコの先制点を見送る形になった。
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