“日本代表の進むべき道”を考える 「パスをつなぐサッカー」でW杯8強へ行くには?

ボールを持ったまま、いかに試合を“殺すか”

 方法はさまざまだが、答えはほぼ決まっている。ペナルティーエリア内、ゴールエリアの幅からシュートを打つこと。その地域からのシュートと、その他の地域では得点になる確率が全然違うからだ。

 逆に言えば、そこからシュートを打てれば決定力不足もある程度解消できる。中央からかサイドか、上からか下からか、アプローチはいろいろあっても目指す場所は決まっているわけだ。そこへ人とボールを送り込むディテールを、詰めていくことになる。

 もう一つの重要なポイントは、いかに失点を防ぐか。1点取ったら自陣に引いてスペースを与えないというのが定石だが、70%ポゼッションを取る攻撃的なチームに守備力まで期待するのは無理だろう。

 そうなるとボールを持ったまま、いかに試合を“殺すか”だ。ボールの失い方、失った後のプレッシング、プレッシングを外された時のリスクマネージメント、それでもゴール前へ持ち込まれた時の守備対応、GKのレベルアップ、ハイクロス対策を図らなければならない。

「パスをつなぐのが日本サッカー」と定義するなら、そこから全体のゲームプランを想定するだけでもベスト8への必要条件は見えてくるはず。あとは障害になっているものを一つずつクリアしていく。

 まず前提となる「強豪国にポゼッション70%以上、ほとんどボールを渡さない」というのは途方もない目標に思えるかもしれない。しかし、それを否定してしまったら出口はなくなる。パスをつないで強豪国に勝ちたければ、それしかない。スペインは現実的にできているわけで、彼らがことごとく天才選手ばかりというわけでもない。日本も14年ブラジルW杯時点で60%ぐらいは現実味のある数字だったのだから、70%が不可能ということもないだろう。

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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