長谷部所属フランクフルトを覆う悲嘆と憤り バイエルンによるコバチ監督“強奪”の衝撃
【欧州蹴球探訪|第2回】躍進のシーズン、来季CL出場権獲得を狙うなかでの激震
現在、日本ではバヒド・ハリルホジッチ監督解任の顛末と西野朗監督新体制の行く末について連日ニュースが流されている。そんななか、日本代表MF長谷部誠が所属するドイツ・フランクフルトでも、日本のサッカーファンが感じた衝撃と同じようなニュースが発信された。アイントラハト・フランクフルトのニコ・コバチ監督が、来季バイエルン・ミュンヘンの指揮官に就任することが正式に発表されたのだ。
フランクフルトは今季ブンデスリーガで上位争いを繰り広げており、UEFAチャンピオンズリーグ出場権を得られる4位以内を視界に捉え(第29節終了時点で4位と勝ち点2差の5位)、ドイツカップ戦のDFBポカールでも準決勝に進出して4月18日にシャルケとのゲームを控えている。このような大事な時期になぜ、我がクラブの指揮官の去就が取り沙汰されるのか――。地元の新聞は一面トップでコバチ監督のバイエルン行きを報じているが、その内容は悲観に満ちたものになっている。
コバチ監督は2002年の日韓ワールドカップ(W杯)、06年ドイツW杯にクロアチア代表のMFとして出場した英雄で、現役引退後はU-21クロアチア代表監督からクロアチア代表監督へ昇格して、14年のブラジルW杯の欧州予選を勝ち抜き本大会出場を成し遂げている(ブラジルW杯では1勝2敗でグループリーグ敗退)。
その後、16年欧州選手権の予選中に成績不振により同代表監督を解任されるも、15-16シーズン途中に就任したフランクフルトでは同シーズンで1部残留を果たし、16-17シーズンではリーグ戦こそ11位だったものの、DFBポカールで準優勝。そして今季は上記のように躍進を果たして、まさに評価はうなぎのぼりだった。また、スリムな体躯で洒落たスーツを着こなす所作はエレガントで、その端正な顔つきとも合わせて現地での女性人気も絶大だ。
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。