なでしこJが失点後に“攻撃しなかった”理由 合致した日豪の利害関係「まずは出場権」

なでしこジャパンはオーストラリアに1-1で引き分け、B組2位でW杯出場権獲得と準決勝進出を果たした【写真:Getty Images】
なでしこジャパンはオーストラリアに1-1で引き分け、B組2位でW杯出場権獲得と準決勝進出を果たした【写真:Getty Images】

後半41分に1-1とされた後、後方でボールを回し時計の針を進める

 なでしこジャパン(日本女子代表)は、ヨルダンで開催されている来年の女子ワールドカップ(W杯)予選を兼ねたAFCアジアカップ、グループリーグ最終戦でオーストラリアに1-1で引き分け、B組2位でワールドカップ出場権獲得と準決勝進出。オーストラリアが追いついた後半41分以降、両者はスコアを動かす必要のない状況で、何もせずに時計の針を進める選択に出た。

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 試合前からの状況を整理すると、W杯出場権を得るためにはグループ2位以内が必要だった。3位の場合は、出場権をかけた5位決定戦に挑む必要があった。今大会では勝ち点が並んだ場合にはグループ全体の得失点差の前に、当該チーム間での対戦成績が先に比較されることになっていた。グループ内で力の劣るベトナムに韓国が勝利すると仮定した場合において、日本とオーストラリアは決着がつけば、単純に勝ち点で差がついて勝利した方が1位、敗戦した方が3位になる計算だった。

 しかし、引き分けた場合は3チームの直接対決が全て引き分けに終わる上に勝ち点5で並ぶ。その時、0-0であれば当該対戦では全く差がつかず、グループ全体の得失点差によりオーストラリアが日本より上位になることが決まり、韓国がベトナムにつける点差で日本と韓国の順位が決まる状況。1-1以上の引き分けなら直接対決の試合における総得点で優位になるオーストラリアが1位、日本が2位になる状況だった。

 そうしたなかで日本が先制した試合は、後半41分にオーストラリアが同点に追いついた。このまま1-1で引き分ければ、両者ともにW杯出場権と準決勝進出を得られる。高倉麻子監督は「勝ち点計算はこちらでしていたので、行くなと。本当はアグレッシブに行きたいですが、まずは出場権ということでそういう指示にしました」と、ピッチにスコアを動かさずに終わらせること。つまり、攻撃に出るなという指示を出した。そこには、オーストラリアもリスクを背負ってボールを奪いに来る必要がないという判断もあったはずだ。

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