ロシアW杯の会場でテロ訓練実施 「爆発2回、武装グループがファンを人質」と設定
イングランド対ベルギーなど4試合が行われるカリーニングラード・スタジアムで訓練
第21回目を迎えるFIFAワールドカップ(W杯)は、史上初の東欧開催となるロシアで6月14日に幕を開ける。ビッグトーナメント開催に伴って浮上するのは治安やテロの問題だが、同国のウラジーミル・プーチン大統領は、暴動やテロの脅威から大会を守り、安全に開催するために全力を尽くすように警察に要請。3月末には開催都市の一つであるカリーニングラードでテロを想定した予行訓練が行われた。地元メディア「newkaliningrad」が報じている。
W杯開幕まで約2カ月。各国の威信を懸けた熱い戦いが期待される一方で、懸念材料の一つがテロ対策だ。昨年には過激派組織「イスラム国」がアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(バルセロナ)やポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)、ブラジル代表FWネイマール(パリ・サンジェルマン)を“処刑”するかのようなコラージュ写真を拡散。ロシア出身戦闘員らによるテロの危険性が高まっていると独紙「ビルト」などで報じられていた。
そんななか、ロシア連邦保安庁(FSB)は3月30日、ロシア西部のカリーニングラードでテロの予行訓練を実施した。ポーランドとリトアニアに挟まれた飛地の同都市は、カリーニングラード・スタジアムが6月16日のクロアチア対ナイジェリア(グループD)や同28日のイングランド対ベルギー(グループG)など計4試合の会場として使用される。
記事によれば、訓練は「ドローンによってスタジアムに持ち込まれた爆発物により、会場で二回爆発が発生。身元不明の銃武装グループがファンを人質に取った」という設定で行われたという。FSBの航空部隊、警察、ロシア連邦刑執行庁、ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省、内務省実習生、災害医療庁カリーニングラード州支局など、多数の関係機関が参加。テロ発生時の第一行動や避難訓練を中心に、施設の「対テロ対策」と「暴動への安全対策」の有効性がテストされた。
W杯開催まで残り2カ月。万全の体制を整えて本番を迎えたいところだ。