「まだ勝利への情熱を失っていない」 湘南38歳ミキッチ、ストイックな“求道者”の矜持
「湘南は上位争いをするチームになれる」
――湘南にはMF齊藤未月選手やDF石原広教選手といった10代の有望株もいます。彼らの存在も刺激になっているのでは?
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「良い刺激になっていますよ。この世界で生きてきて見てきたんですが、練習ではすごく良いけど、試合に出たら十分に力を出せない選手は少なくありません。彼らも試合でより良いプレーを出せる素地は持っています。試合になれば、練習とは桁違いのプレッシャーがかかるわけで、勝ち点を絶対取らないといけない、優勝が懸かる状況ならなおさらですよね。様々な選手を見ることも自分にとっては勉強。どうやって公式戦で力を出せるようになるのか、すごく興味を持っているところでもあります」
――そういった研究熱心な部分が、ミキッチ選手がJリーグで10シーズン目を迎えられている秘訣だという気がします。
「私はまだ勝利への情熱を失っていない。いまだに試合前日と試合後はすぐに眠りにつくことはできません。最初に自己分析をすることにしています。まず自分が試合で何をやらなければいけないのか、試合後に関しては何ができなかったのか。エゴを捨てて客観的な目で自分を見るんです。練習中のふとした勝負事でも負けるのは大嫌いなので、例えば紅白戦で負けたとしたら、次の日の練習で自分のチームが勝つということをモチベーションにしています。それが(現役を)長くやる、あるいは自分の力を出す上で必要かなと」
――ところで、今季の背番号「41」はこれまで愛用してきた「14」を逆にしたものですか?
「(日本語で)ハイ、ソウデス。14番には特別な思いがあります。なぜなら(長年過ごした)ディナモ・ザグレブで最初にもらった番号だからです。そして、ヨハン・クライフがつけていたという意味でもカリスマ的ですね。広島ではその愛着のある番号をつけました。湘南では14番が空いていなかった(編集部・注/MF藤田征也が着用)ため、それを逆にした番号をつけています。ちなみに、8番も好きです。子供の頃、初めて公式戦に出場した時に8番をつけました。山田直輝が浦和に帰るということは分かっていたので8番を訊いたんですが、もうすでに埋まっていました(編集部・注/DF大野和成が着用)」
――ミキッチ選手はゲンを担ぐタイプですか?
「めちゃくちゃ担ぎます(笑)。だから、試合に勝った時、自分が良いプレーをできた時は、その日にやったことを次の試合にも反映させます。靴下を履く順番、朝食のメニューも含めて全て同じです。もし、試合前日に行ったレストランで次の日に負けてしまったらそこにはもう二度と行きません(笑)。それくらい徹底しています」
――最後に、「ALIVE」をチームスローガンに掲げて挑んでいる今季への意気込みを訊かせてください。
「タラレバの話になってしまいますが、東京に勝っていればウチは3位か4位につけていていたと思います(4月10日時点で11位)。湘南は上位争いをするチームになれるし、ならないといけない。それと同時に、まずは残留を確定させるべく、勝ち点40をいち早く達成すること。その後の勝ち点は“ボーナス”かなと。34試合を戦い終えた時に、自分たちがどこまで勝ち点を伸ばせるか、私自身も楽しみにしています」
[PROFILE]
ミキッチ
1980年1月6日生まれ、クロアチア出身。湘南ベルマーレ所属。他を寄せ付けないスピードと鋭いドリブル突破で守備を切り裂く熟練のサイドアタッカー。2009年のJリーグ入りから早10年目、広島では3度のリーグ優勝を経験した。J1通算224試合8得点(18年4月10日時点)
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)