“禁断移籍”の川崎MF齋藤学、古巣戦復帰で新境地「ちょっと面白いところ」
ブーイングを浴びるも「勝手に愛情の裏返しだと思ってやればいいかなと」
果たして、試合当日がやってきた。試合が始まる前、選手紹介時には横浜FMサポーターからの大きなブーイングが響く。それに対抗するように川崎Fのサポーターからは多くの拍手が飛んだ。
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出番がやってきたのは後半32分だった。交代を待ってタッチライン上に立つと再び大きなブーイングが響いた。
「選手紹介のブーイングや出る時のブーイングは感じていて、勝手に愛情の裏返しだと思ってやれればいいかなと。そうではないという声もたくさんあるだろうけど、自分にとってはこのピッチに戻れたというのはすごく感じるものがあった」
ピッチに立つと切れ味鋭いドリブルからバイタルエリアに侵入。短い時間の中で周りとのコンビネーションを駆使して何度もゴールに近づいた。
もちろん結果を見ればわかる通り、チームを勝利に導くようなゴールを奪うことはできなかった。「僕の中では仕掛けるスピードを出すことでチームの雰囲気を上げていこうと思っていたので、そこは悪くはなかったかなと思いますけど、結果につながらなければ意味がない」と言うように、内容に満足しているわけでもない。
だが、「本当に自分がサッカーをどれだけ楽しく、自分にとってどれだけ大きいものかというのを感じるリハビリ期間」を過ごしてきたなかで、久々の公式戦でサッカーの楽しさを噛み締めながら堂々たるプレーを見せつけた。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。