「日本人であることに守られていたら…」 ブラジル挑戦7年目のFW東城が達した境地とは

「日本人で良かった」が、時には「プライドを捨てなければ…」

「日本人は根暗って訳じゃないけど、自分のことを隠すところがあると思うんです。でも恥ずかしさというのは、ちょっとしたプライドでもある。そのプライドを消して、オープンに自分から話していかないと、誰も近づいてこない。だから周囲の人たちといい関係を築いていこうと思ったら、自分から行くしかない。時にはそういう恥ずかしさは捨てなきゃいけないと思ったんです」

 もちろん、日本人としての誇りも忘れることはない。

「ブラジルで7年間やってきて、日本人で良かったと思っている。目上の人に対してのリスペクトの仕方、人に対する親切さ、物事に対する対応の早さは素晴らしいし、すごいと思う。もう慣れたけど、ブラジルは何をやるにしても遅くて時間がかかる。年上の人に対するリスペクトがないから、子供でも大人に対して平気で失礼なことを言ってくる」

 それでもブラジルにいる限り、時に日本人としてのプライドを捨てなければいけないことを今は強く自覚する。

「日本人であることに守られていてはダメだと思うんです。日本は海外で挑戦してダメなら、いずれ日本に帰れば生きていけるという安心感を持てる国。でも僕は来てほしいと頼まれない限りは、日本に戻るつもりはないし、Jリーグでのプレーにも今は興味がない。海外でサッカー人生を終わらせたい」

 まだまだブラジルでプレーを続けたい――。その強い思いが、語学力を高めてコミュニケーション能力を上げ、よりチームに溶け込みたいという向上心の源になっている。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)



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