「日本人であることに守られていたら…」 ブラジル挑戦7年目のFW東城が達した境地とは
元Jリーガーの新天地での振る舞いを目の当たりに…
ブラジル全国選手権1部で何度もベンチ入りしながら、一度も出場機会を与えてもらえなかったことで、客観的に自分を見つめられるようになった。ブラジルで年を重ね、若手から中堅の世代に突入したことで、サッカーだけをやっていればいいという考え方から、サッカー選手としてだけでなく、人間としても成長しなければならないという思いを持つようにもなっていった。サッカー関係者以外の人と知り合う機会も多く、人付き合いが増えたことでコミュニケーション能力の大切さをより感じるようになったという。
「サッカー選手としての成長を追求することは当然しなきゃいけないことだけど、その前に人間として成長することが大事。サッカー以外の時間は、自分に足りていないことを補う時間に充てないといけない。自分に必要なのは、もっとポルトガル語を覚えて、コミュニケーション能力を高めること。サッカー選手とする話と、友だちの家族の家でする話は内容も違うし、使う単語も違う。いろんな人といろんな話題の話をしたいし、人間性を高めることは人生において大事なこと。でも、サッカー以外の話をしようと思ったら、もっとポルトガル語を覚えないといけない」
15年当時のアヴァイには前年にJリーグのジュビロ磐田にいたMFチンガ、12~14年に川崎フロンターレでプレーしていたDFジェシもいた。日本で助っ人としてプレーしていた彼らが、いかにして新天地のアヴァイでチームに溶け込んでいったのかを目の当たりにし、コミュニケーション能力を上げてチーム内で信頼を勝ち取ることが出場への近道だと悟ったのだ。
ピッチに立てば、常にゴールへの執念を燃やし、ピッチを離れれば明るく、人懐っこい性格でブラジルでの生活を楽しんでいる東城。そんな彼でも日本人の誰もが持つ日本人らしさが、時にコミュニケーションを邪魔してしまうことがあったという。