ブンデス日本人選手を襲う受難の日々 マインツ戦の会場で感じた“貴重な財産”
日本人ファン・サポーターへの気配り
また、ブンデスリーガ2部で首位に立つデュッセルドルフは、アウェーでダルムシュタットに0-1で敗れた。所属する日本代表FW原口元気は左ウイングで先発フル出場、同FW宇佐美貴史は右ウイングで先発途中交代と、現在のデュッセルドルフは日本人FWがチームの両翼を務め、ともに好パフォーマンスを維持している。またデュッセルドルフは今回のダルムシュタット戦で敗戦したが、それでも2位ニュルンベルクとは残り6試合で勝ち点6差あり、2012-13シーズン以来となる1部への昇格が現実味を帯びている。
そして筆者が今節のゲームで直接取材に赴いたのは、FW武藤嘉紀が所属するマインツとボルシアMGの一戦だった。前節終了時点でマインツは勝ち点25の16位で、このままでは2部3位との入れ替え戦に臨まねばならないため、今回のホームゲームは是が非でも勝利したいシチュエーションだったが、1トップで先発する予定だった武藤が試合直前に、もも裏の違和感を訴えて欠場を余儀なくされるなど、アクシデントに見舞われた。結局試合は互いに相手ゴールを強襲する激しい展開となるもスコアレスドローに終わり、チームは勝ち点「1」を積み上げたが、17位ケルンが敗戦し、最下位のHSVが引き分けたために残留争いのライバルを若干引き離した。
ところで、試合会場でマインツの広報体制で素晴らしいと感じたことがある。ゲーム直前に出場を取り止めた武藤について、チームは試合開始後間もなく、迅速に公式ツイッターでその理由を明かしているのだ。しかもマインツの公式ツイッターには日本語版もあり、他にもチームや選手の動向について随時更新している。現地のドイツ人サポーターだけでなく、日本人ファン・サポーターへのホスピタリティーにも気を配るクラブの姿勢は、現在チームに在籍する武藤、そして、かつてエースFWとしてクラブに貢献を果たした岡崎慎司(現レスター)らが築いた、貴重な財産なのかもしれない。
(島崎英純/Hidezumi Shimazaki)
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。