ブラジルで7年間プロ生活を送るFW東城利哉 日本で「枠にはめられるのが嫌だった」
移籍で取り戻したハングリーさ「決して弱い訳じゃない」
ブラジル国内でも知られた存在であるアヴァイから、地方の小クラブに移籍すれば、取り巻く環境は当然変わる。ビッグクラブ入りを目指してハングリーにプレーしていたフリブルゲンセ時代を思い出すのに、時間はかからなかった。
練習初日の光景も衝撃的だった。集まった選手は他のクラブよりも少ない20人。マッサー(マッサージ師)やホペイロ(用具係)とはチームがまだ契約を済ませておらず、裏方が不在の中でのスタートだった。数人の選手は実力不足で練習の途中で帰らされた。チームはその後、裏方とも契約を結んだが、トレーナー5人、マッサー3人という恵まれた環境から、マッサー1人だけという厳しい環境に変わった。
インテル・ジ・ラージスは、1月に開幕した州選手権1部で初戦こそ古巣アヴァイに勝利したが、その後は振るわず一時最下位に低迷。層の薄さが選手たちの疲労を招き、チームとしての自信を失うなど負の連鎖が続いた。
そんな現状を受けて、クラブは急きょ8人の選手と新たに契約。今はチームの立て直しの真っ最中だという。例年は12月頭からトレーニングを開始するチームが資金難に陥り、例年通りの時期に練習を始めることができず、一部の選手は大会直前まで契約を結んでもらえないなど、クラブの準備不足がそのまま順位にも反映されてしまった形。食事も、アヴァイ時代には親しくなった日系人の家庭で日本食中心の食事を食べていたが、今はホテル暮らしで、食事はチームの寮やホテルのレストランで済ませる生活だ。
だが、そんな環境でも東城は不満を言うことはない。
「アヴァイでは試合前にホペイロがスパイクを磨いて置いてくれていたけど、今は自分でやらなきゃいけない。身の回りのことだけでなく、体のケアも自分で気を遣わなくてはいけない。フリブルゲンセ時代に戻った気がします。でも、決してチームが弱い訳じゃない。アヴァイにも勝っているし、ブラジル人の選手はどんなチーム、環境でもやれる対応力、試合勘を持っている。技術力は変わらないし、小さなクラブでも上手い選手はたくさんいる。誰がどこに行ってもある程度はできる。あとはサッカー選手としての頭の良さ、プロ意識の高さの差。ある程度のレベルのチームで終わるか、ビッグクラブまで這い上がれるか。このチームの選手たちは同じ州のビッグクラブであるアヴァイやフィゲイレンセに行くことを目指していて、すごくハングリー。僕もここで出場機会を増やして、結果を出したいんです」