ブラジルで7年間プロ生活を送るFW東城利哉 日本で「枠にはめられるのが嫌だった」
「ブラジルに来て貪欲さが欠けていたと気付かされた」
チームメイトの姿を見て、ゴールに向かう気持ちの大切さに気付かされた東城は、同州1部リーグでのデビュー戦でいきなりゴールを決めるなど、コンスタントに結果を残す活躍を見せ、在籍3年間で5ゴールを挙げるまでに成長。ブラジル人選手の誰もが憧れるマラカナンのピッチにも立った。
ポジションは右FWや右サイドハーフ。ドリブルやスピードを生かした突破力を買われ、サイドでのプレーに新境地を見出した。
「こっちでは、ゴールを決めて勝てばヒーロー。街中で知らない店の人が『これ持っていけ!』って言って食べ物をくれたりするし、神様扱いしてくれるんですけど、シュートを外して負けたら本当に地獄」
試合後、街中でサポーターに遭遇すれば、罵声を浴びせられるのは当たり前。時には石を投げられることもあり、試合で負けた日には家で大人しくしていることも珍しくなかったという。
「ブラジルではまだ年配の人は、日本人はサッカーが下手だと見下しているし、『ジャポネス』という単語はサッカーが下手な人の代名詞としても使われる。アジア人は目が細いことをからかわれたりもする。でも、そこで縮こまっていても仕方がない。練習に対する姿勢は、他のブラジル人の誰よりも高い意識を持ってやってきたつもりです」
そんな厳しい環境が、東城をより精神的に強くさせた。そして、フリブルゲンセでのプレーが評価され、14年には当時ブラジル選手権2部だったアヴァイに移籍。就労ビザの取得に半年を要したが、同年秋には念願だったブラジルのビッグクラブでの正式契約にこぎつけた。