中島翔哉が見せた一つの光明 ハリルJの“秘密兵器”となるために必要なのは?

後半34分に投入された中島翔哉(ポルティモネンセ)【写真:Getty Images】
後半34分に投入された中島翔哉(ポルティモネンセ)【写真:Getty Images】

マリ戦に続き、ウクライナ戦でも躍動 個で相手守備網を破壊する能力は大きな魅力

 投入されたのは後半34分だった。27日の国際親善試合ウクライナ戦(1-2)、中島翔哉(ポルティモネンセ)はMF柴崎岳(ヘタフェ)に代わりトップ下で出場。ボールを触りながらリズムをつかむと、後半41分にDF長友佑都(ガラタサライ)のクロスをFW小林悠(川崎フロンターレ)が手前に落とし、反応した中島が左から狙い澄ましたシュートを放つ。DFに当たり、跳ね返ったボールを再び右足で捉えたが、惜しくもGKにセーブされた。

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 後半アディショナルタイムに入ると、中島は二つのプレーで日本に希望をもたらす。左サイドで鋭い“クライフターン”を繰り出してディフェンスをかわし、右足でファーサイドにループのパスを落とす。そこにFW久保裕也(ヘント)が走り込んでボレーで合わせたが、上手くミートできず大きく弾んでしまった。

 そして、アディショナルタイム表示の4分を経過しようとしていたところで、相手GKがキックミスしたボールを拾った中島がドリブルで仕掛け、ペナルティーエリア手前でDFに倒された。そのままキッカーを任された中島は、壁の右を破る鋭いキックでGKアンドリー・ピアトフ(シャフタール・ドネツク)を襲ったが、弾かれたボールがゴール前の久保に当たり、惜しくも枠外にそれた。

 残念な結果に終わったウクライナ戦だが、中島の活躍は本大会に向けた一つの光明だ。試合後、終盤に出場した宇佐美貴史(デュッセルドルフ)が個人で相手のディフェンスを剥がせる選手の重要性を語っていたが、中島のプレーはまさしく個人で相手のディフェンスを破壊する可能性を持っている。さらに、マリ戦では土壇場の同点ゴールを挙げたように、ゴールをもたらす力は何物にも代えがたい。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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