ゴールへの執着心が垣間見えたワンシーン 本大会を前に香川真司が研ぎ澄ませる「フィニッシュへの意識」

本番前に得た手応えと課題

 

 そして、エースは本懐を遂げた。

 後半35分、柿谷とのワンツーで相手守備陣を切り裂くと、エリア内へと侵入し、逆転ゴールを突き刺した。昨季所属するマンチェスター・ユナイテッドで出場機会を得られずにベンチを温め続けた。欧州へと渡って初めて公式戦無得点に終わるなど不振を極めた。だが、本番直前のテストマッチで安堵の声を上げた。

「フィニッシュはかなり意識した。自分が攻撃面のリスクを冒さないといけない。勝負のパスが出てくるのを意識してスペースに入りましたし、その中で得点できたことは次につながると思う。流れの中からひさびさに点を取れたことは大きかった」

 しかし、その声音はすぐに引き締まった。自身初のW杯はすぐそこに迫っている。10年の南アフリカW杯ではサポートメンバーとしてチームに帯同したが、タッチラインをまたぐことは許されなかった。その苦い経験を払拭する舞台はひとつしかない。

「コートジボワールは、ウイングの選手が強烈で、さらにSBもしっかり上がってくる。その中で今日も前半は相手の右SBがガンガン上がってきた。でも数本ボールを奪い返したところもあったし、SBとの受け渡しの場面で、もう少しスムーズにするところは必要かなと思う。もっとレベルの高い相手だったら、2、3本は危なかったシーンもあった。そこもやっぱりしっかりとコミュニケーションを取ってやらないといけない」

 その頭の中では、ブラジルでの激戦が確かに始まっていた。求め続けた、ソレが彼の地には待っているのだ。4年前とは違った景色を見るために、日本の背番号「10」はさらに眩しく瞬こうとしている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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