ハリルの“勝利のシナリオ”に適した23人は? 欧州遠征メンバーに見る「W杯への狭き門」

最激戦区は「左ウイング」 中島&宇佐美は“スーパーサブ”?

 激戦区は左ウイング。予選のMVPとも言える原口元気の攻守にわたる貢献は高く評価されているだろうが、指揮官が今回強調したのは「得点」だった。中島翔哉(ポルティモネンセ)と宇佐美貴史(デュッセルドルフ)は個人でチャンスを作れるタイプで、宇佐美には一発の魅力がある。守備への貢献を考えると中島、宇佐美をロシアで先発起用するとは考えにくく、“スーパーサブ”としての適性を見たいのではないかと思う。今回は選出されていないが、個の能力と守備も手堅い乾貴士(エイバル)も、このポジションの有力候補だ。守備優先なら原口、攻撃優先なら乾。そこへスーパーサブの要素も兼ねて中島、宇佐美という位置づけだろうか。

 トップの大迫勇也(ケルン)、小林悠(川崎)、杉本健勇(C大阪)もフィニッシャーとしての期待がかかる。ここは純粋なポジション争いとなり、好調を維持した選手が残るわけだが、このポジションに3人を選出する可能性もあるだろう。

 ハリルホジッチ監督は、すでにグループリーグで対戦する3チームに関する分析を終えていて、ある程度戦い方のイメージもでき上がっているはず。W杯は長期合宿を経ての長丁場なので、グループの構成員としての資質も考慮される。昨年11月の欧州遠征(ブラジル戦、ベルギー戦)のテーマが強豪相手の守備だとすると、今回は本大会のシミュレーションになる。特に攻撃面での収穫を期待したい。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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