コスタリカ戦の後半で劇的に改善された日本の「ボール維持率(Sustain rate)」 データから浮き彫りになった“主力選手”の重要性

ボール維持率で見る香川の変化

 

 1トップでの起用が噂された大久保だったが、この日は2列目の右サイドで先発。そして最前線にはキプロス戦で出番のなかった大迫が入った。このメンバーが前半で受けたパスのうち、本田と香川で65%を超え、残りの3分の1を大久保と大迫が受けていた。

 つまりこの4人で前半だけで100本のパスを受けていたわけだが、実はその受けたパスをきちんと味方につなげられていない。受けたパスを味方につなげられたかを示すデータとして、今回ボール維持率(Sustain rate)という指標を用いた。

 前線の4選手のボール維持率は前半、70%強とそれほど高くなかった。特に大久保と香川は60%台。大久保は右サイドでパスを受けた後、自分でドリブルを仕掛けようとするプレーが多かった。ところが、そこで引っかかってしまう場面が目立ち、受けた後に味方へとパスを繋ぐことができていなかった。

 一方、香川はこの日、左サイドでいつものパートナーの長友佑都ではなく、今野泰幸と組むことになった。長友の運動量を生かしたオーバーラップは、香川のインサイドに切り込むプレーを支える非常に効果的な動きだ。だが、センターバックやボランチが本職の今野は香川をサポートするクロスオーバーの回数が少なく、このことからも、これまで日本代表が得意としてきた左サイドの崩しは、チームを構成するメンバーに頼ってきたことが分かる。

 結局、0-1に終わった前半は、何度かチャンスは作ったものの、あまり崩し切れていた感じを受けない。それはペナルティエリア内で明らかにフリーになる状況がつくれなかったからだ。その原因の一つは、2列目の選手の効果的な飛び出しの少なさに加えて3列目、つまりボランチの選手の積極的なオーバーラップが少なかったことも影響していた。

 

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