広島MF川辺駿、「トップ下起用」の大いなる可能性とそこに潜むギャップのジレンマ
「どんな形でも勝利がチームのムードを変えてくれる」
ボールを握って攻撃的なサッカーをしたい反面、守備で崩れてしまっては元も子もない。スペースも限られるなかでは川辺をサイドハーフに置き、しっかりとブロックを作ってからゲームを組み立てていくプランを選択しているといったところだろう。
川辺は「自分が中に入ったほうが良いことはチームメイトも監督も分かっているという第一前提はある」と前置きしたうえで、「サイドハーフの場合はトップ下より自由に動きづらく、奪われた瞬間に自分がサイドに戻らないといけないというのが頭の片隅にあって、上手くいかないことが多い。ただあそこ(サイド)で守備をすることによって、チームが崩れずに長い時間行けることは札幌戦で分かったので」と試行錯誤を受け入れている。
「勝つことが一番大事。どんな形でも勝利がチームのムードをがらっと変えてくれますから」
広島で生まれ育ち、ユースから昇格してプロデビューも広島で果たした。2015年からジュビロ磐田で3年間の“武者修行”を経て、今季古巣に凱旋。ジレンマと試行錯誤の先に、明るい未来が待っていることを信じて22歳のアタッカーは前を向く。
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小田智史●文 text by Tomofumi Oda(Football ZONE web編集部)
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images