広島MF川辺駿、「トップ下起用」の大いなる可能性とそこに潜むギャップのジレンマ
後半の柴崎投入からポジションチェンジ “トップ下・川辺”を中心に2ゴールで逆転勝利
J1サンフレッチェ広島は4日にリーグ第2節で浦和レッズに2-1と逆転勝利し、開幕2連勝を飾った。1点ビハインドの後半に2ゴールを奪う原動力となったのが、今季期限付き移籍から復帰した22歳のMF川辺駿だった。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督も「広島にも良い若手がいますね」と暗に川辺が目に止まったことを匂わせる発言をしたほどだ。“トップ下・川辺”の大いなる可能性を感じさせた一方で、常時その状態で臨めるレベルにチームはまだ辿り着いていない“ジレンマ”が浮き彫りとなった試合でもあった。
広島は開幕戦と同じ4-4-2でスタートし、川辺は右サイドハーフで先発出場。本職のポジションではないなか、浦和のMF武藤雄樹やDF宇賀神友弥にプレッシャーをかける懸命の守備を見せたが、攻撃では2トップのFWパトリックとFWティーラシンへのロングボールが多い影響で、思うようにゲームメイクができなかった。
前半43分に浦和のMF青木拓矢に先制点を決められ、1点ビハインドで迎えた後半、潮目が変わったのはMF柴崎晃誠の投入だった。広島は同時にシステムを4-4-2から4-2-3-1へと変更。右サイドハーフの川辺をトップ下へとシフトした。
城福浩監督は、このポジションチェンジについて「お互いがよりオープンになってきたので、ボールを握るための配置に変えた」と説明する。実際、川辺はトップ下に入ると積極的にボールを要求して起点となり、後半21分にはゴール前へのクロスのこぼれ球を柴崎が押し込んで1-1の同点。さらに同34分には川辺のドリブル突破を浦和のDF槙野智章がタックルで防ぐも、そこに飛び込んだMF稲垣祥がクリアボールを足に当てて意地の逆転ゴールをねじ込んだ。