横浜FMはマンCになれるのか? J1開幕戦で披露した「偽サイドバック」の新たな挑戦
問題は両ウイングの質的な優位性
この戦術の利点は中盤でボールを支配しやすいこと、ウイングへのパスコースを開けられる、そして相手が自陣からボールをつなごうとしてもプレスをかけやすいという、3点が主なものとなる。前半に関しては、全くその通りの試合展開になっていた。
ただ、横浜FMのリズムでプレーできたのは後半30分くらいまでだった。そこまではかなりチャンスも作れていたのだが、追加点を取れなかったために柿谷曜一朗のゴールで同点に追いつかれてしまった。
グアルディオラが「偽サイドバック」を使ったバイエルン・ミュンヘンとマンチェスター・シティは、両ウイングに優位性がある。バイエルンにはフランク・リベリー、アリエン・ロッベン、キングスレイ・コマンがいて、シティにもラヒーム・スターリング、レロイ・ザネ、ベルナルド・シウバがいる。ウイングへのボール供給が容易なのが利点だから、ウイングには質的な優位性がなければならない。
ところが横浜の遠藤渓太とユン・イルロクには、この試合に関してはそこまでの優位性がなく、そこそこチャンスは作れていたものの戦術を生かし切ったとは言い難い。CFを務めたウーゴ・ヴィエイラも、決定機を決め損ねていた。
「後半はキープできるようになって攻撃の形ができた」(ユン・ジョンファン監督)
攻め込んでいる時の横浜FMは2バックなので、C大阪はカウンターを仕掛けられればサイドががら空きなのでビッグチャンスをつかめる一方、自陣からパスをつなごうとすると相手のプレスが厳しかった。しかし、C大阪が主導権を握って押し込んでしまえば、横浜FMは通常の4-3-3になるので「偽サイドバック」の効力はない。終盤はそうした展開となり、C大阪の良さが出てきた。