『サッカーをやる人』ほど『サッカーを見ない』 日本サッカーの小さな大問題
■リアルタイム観戦の価値
「指導者がどんなに練習させても教えられないものを得られるのが、ゲームを“観る”ということではあるんです」。
久保田さんはそう語った上で、
「そしてこれは、ライブだから得られるものだとも思っています。ゴールが決まって隣の家からも歓声があがる。家族みんなで一斉に日本の勝利を喜び、ピンチに慌てて、負けたら悲しむ。そういう喜怒哀楽を共有することの中で焼き付いた記憶というのは、本当に宝物になりますよ」
と熱弁を振るいます。
日本代表選手に話を聞いていても、幼少時に「観た」サッカーの記憶が、彼らの強烈なモチベーションに転化したという話がよく出てきます。どんなに優秀な指導者でも与えられないような目的意識を得ることができて、サッカーをより好きになることで将来のサポーターをも養成することになるであろう「観戦」の機会は、やはり確保してあげたいなと思うわけです。
もちろん、「あらゆる犠牲を払ってでもこのタイミングでの試合を排除せよ!」などという暴論を押し付ける気はありません。スケジュールの都合を付けること、グラウンドを確保すること、いずれも困難な作業であることは承知しています。それと同時に、既に多くの大会が、この試合に配慮する形でスケジュールを動かしたという事実と、その裏にあったであろう関係者の努力に対して、一人のサッカーファンとして感謝したいと思います。
次にこうした議論が出てくるのは、あるいは2年後のリオ五輪かもしれません。その時は直前ではなく、半年前にこの問題を考えてみるというのはどうでしょうか。日本に住むサッカーを愛するみんなが、一つのチームに声援を送る。そういう機会を作るために知恵を出し合う姿勢を持つことは、きっと日本のサッカー文化を豊かにし、優秀なプレーヤーを増やし、サポーターを増やすことにつながっていくのではないかと思っています。
せっかくの機会なので、一試合でも多く観戦しましょう。
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取材・文:川端暁彦
提供:サカイク(http://www.sakaiku.jp/)
転載記事元(http://www.sakaiku.jp/column/challenge/2014/007015.html)
※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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