「フリット」か「グーリット」か 外国人選手名の表記と発音を巡る“永遠の難題”

日本人として戸惑ってしまう名前は…

 しかし、なんといってもカタカナにする時に一番困るのが、一文字の名前だろう。

 かつてイブラヒム・バという名前のフランス代表選手がいた。アルファベットだと「BA」なので特に違和感はないのだが、日本語の文中に「バ」だけだと、けっこう読みにくくなる。「この試合でデビューのバは…」「右からドリブルで切れ込んだバからのクロスを…」「行けバ!」と、なんだか誤植みたいに見えてしまう。

 JSL(Jリーグの前身)時代の日本でプレーした選手で、「レ」という名前のブラジル人もいた。記録の得点者の欄に<得点=レ二、渡辺>なんて書いてあると、レが2得点なのか、レ二という選手が1得点なのか判別がつかない。レという名前を知っているか、チームの総得点を了解していれば大丈夫だが、これだけだと混乱する。

 そしてアフリカに多い「バカ」の付く名前にも、少々戸惑ってしまう。バカヨコはかなり多い名前なのだが、だいたい縮めて「バカ」と呼ばれている。チームメイトからあまりにもバカバカ呼ばれていて不憫になるが、そう思うのはもちろん日本人だけだ。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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