レアルのPSG撃破に見た二つの神秘的な力 “ボールが浮く”PKと絶妙だった“2枚替え”

勝負どころを見極める神秘的な能力

 そこで後半の勝負どころと見たタイミングで走れる選手を投入してカウンターからのチャンス拡大を狙った。しかしそれよりもベンチに座っているベイル、アセンシオ、ルーカス・バスケスを使わない手はない、フレッシュな選手で勢いをつけようという意図が主だったのではないかと思う。

 守備の要であるカゼミーロをベンチに下げたので、「攻めるぞ」という明確なメッセージとなった。ジダン監督は“ここ”という勝負どころの試合では、だいたい何か仕掛ける。今回は後半の2枚替えがそれで、それを的中させる勘の良さを持っているようだ。いちおう理屈もあるけれども、それよりも勝負どころで選手たちのスイッチを入れたことが大きかったのではないだろうか。これも見方によっては、神秘的な能力かもしれない。

 それにしても、いまだに踏み込むと芝生が飛び起きてボールが浮くという理屈が飲み込めないのだが……、誰かこの怪奇現象を説明してくれないものだろうか。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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