レアルのPSG撃破に見た二つの神秘的な力 “ボールが浮く”PKと絶妙だった“2枚替え”
“2枚替え”で縦への推進力を生み出した
ところが、PSG戦のPKシーンをスローで見ると本当にボールが浮いている。だからあんなに強いシュートになるのか、それほど強い踏み込みだからボールが浮くのか、いずれにしてもあの話は本当だったのかと感慨深いものがあった。
この超常現象的なPKはともかく、このゲームのポイントは後半の“2枚替え”だろう。
後半34分にジネディーヌ・ジダン監督はMFイスコとMFカゼミーロを引っ込めて、MFマルコ・アセンシオとFWルーカス・バスケスを送り出している。すでにFWカリム・ベンゼマをFWギャレス・ベイルに交代していたので、3枚のカードをこれで使い切った。ピッチ上にはロナウドとベイルの2トップ、MFの並びは右からルーカス・バスケス、モドリッチ、クロース、アセンシオとなった。そしてアセンシオのクロスボールから同38分にロナウド、同41分にマルセロが決めて3-1の勝利をつかんだ。
この交代策は縦への推進力を生み出している。もともとレアルのチャンスは、PSGのディフェンスラインの裏を突いた速攻に限られていた。ベイル、ルーカス・バスケス、アセンシオと“足のある”選手を次々に投入することで、チャンスの可能性を拡大した結果が逆転勝利につながったと言える。
ただ、ジダン監督の交代策は理屈よりも気持ちの問題だったような気もする。
アウェーのPSGは、基本的にカウンター・モードだった。FWキリアン・ムバッペとFWネイマールを、両サイドに張らせて速攻を狙っている。ボールを保持していたのはレアルだったが、こちらもチャンスはカウンターからのもので、それ以外ではあまり決定機を作れていなかった。