「自分の経験をチームに伝えていきたい」

　高木は昨季、AFCチャンピオンズリーグ準々決勝で川崎と対戦した際、合計スコア1-4から浦和が逆転勝利を収めた決勝ゴールを埼スタで決めていた。まさにその記憶を呼び起こすような、デビュー戦での一撃だった。

　東京ヴェルディの下部組織で育ち、トップ昇格と清水エスパルス、浦和への移籍を経て、初めて関西圏でのプレーになる。それでも「（チームに）入れてもらえているというか（笑）。みんながかまってくれるので、助かっています」と、戸惑いは少ないようだ。2列目の左サイドも「ずっとやってきて、一番やりがいがあるし、結果を出してきているポジションですから」と、日本代表MF清武弘嗣などとのポジション争いに一歩も引く気はない。

　C大阪は、ゼロックス・スーパーカップから中3日でACL開幕戦を迎える。昨季優勝の浦和が今季の出場権を逃しているだけに、浦和から移籍した高木は唯一の“連覇”を狙える存在だ。そして、その開幕戦も昨季のラウンド16での浦和戦後に乱闘騒動を起こした済州ユナイテッド（韓国）と因縁の相手だ。

「ACLはアウェーの戦いが本当に厳しい。そこをどう乗り切るかが大事なので、自分の経験をどこまで生かせるか分からないけど、チームに伝えていきたい」

　思い出の場所で挨拶代わりの一撃に「理想の形でスタートできた」と笑顔の高木は、今季のC大阪にとって貴重なアタッカーとして存在感を放っていくことが期待される。

【了】

轡田哲朗●文　text by Tetsuro Kutsuwada

フットボールゾーンウェブ編集部●写真　photo by Football ZONE web