リーガの先駆者・城彰二が明かす分岐点 スペイン行きを懸けたある人物との“約束”とは

大物代理人が宣言「点を獲ったら連れて行く」

 アスカルゴルタ監督は1997年に横浜マリノスの監督に就任。98年に途中解任されるまで城氏は師事し、同年には得点ランキング2位の25得点を挙げるなど大きく飛躍を遂げた。いわば“恩師”の一人であるスペイン人指揮官が紹介してくれたのは、元アルゼンチン代表MFディエゴ・マラドーナや元ブラジル代表FWロマーリオ、元ブラジル代表MFリバウドらのマネジメントを務めた大物代理人ジョゼップ・マリア・ミンゲージャだった。そして、スペイン行きを懸けて、“ある約束”を交わしていたという。

「ヨーロッパで有名なミンゲージャが直々にマリノスの試合を観にきて、『そこで点を獲ったら、お前を(スペインに)連れて行く』と試合前に言われたんですよ。マジか、と思って。テンションが上がって空回りしてしまったんですが、残り10分くらいでなんとか点を決めて、『連れて行く』と言われました」

 訪れたチャンスを掴み、2000年1月にバジャドリードへのレンタル移籍が決定。00年1月16日のヌマンシア戦で途中出場してリーガデビューを飾り、2月27日のオビエド戦では2ゴールを挙げて日本人リーガ初得点もマークした。同年に横浜マリノスに復帰するまで通算15試合2得点を記録。FW大久保嘉人(マジョルカ/現・川崎フロンターレ)やMF中村俊輔(エスパニョール/現・ジュビロ磐田)、MF乾貴士(エイバル)、MF柴崎岳(ヘタフェ)ら日本人選手にリーガの道を切り開いた先駆者となった。

 城氏のスペイン挑戦は、“条件”として課されたゴールを決めた勝負強さによって実現したのだった。

【了】

小田智史●文 text by Tomofumi Oda(Football ZONE web編集部)

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

 

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