Jリーグで巻き起こる「外国人GKブーム」 日本人守護神の未来に影響を及ぼすのか?

若いGKにとって身近な手本になる

 Jリーグの規模はかなり大きくなった。全国に50以上のクラブがある。外国人GKが移籍してきて出番がなくなったら、別のクラブへ移籍すればいい。そうするとまた弾き出されるGKがいるわけだが、玉突き的に移動していっても50もクラブがあるのだから、大量のGKが失業する事態にはならない。Jリーグ全体で言えば、守護神のレベルは上がる。

 若いGKにとっては身近な手本にもなる。GKはセットで専門的なトレーニングを行う時間が長く、同じクラブのGKはライバルであるとともに仲間でもあるわけだ。海外移籍の野心のあるGKがいても、現実に日本人GKの海外移籍は他のポジションよりハードルが高い。しかし、同じチームに外国人GKがいるなら、その選手との競争に勝てばその選手がプレーしていたリーグでやれる力があることを証明できる。外国人GKの活躍が注目されれば、GKをやりたい少年少女も増えるかもしれない。マイナスばかりではなさそうだ。

 かつてポルトガルリーグのGKは外国人選手が多かった。国内にあまり良い選手がいなかったからだろう。ところが、現在はハイレベルのGKを輩出するようになっている。外国人GKの流入が刺激になって活性化されれば、さまざまな良い面もあるはずだ。Jリーグの強化のためにはプラスであり、日本代表の強化にとってはマイナスもあるが、長期的に見ればプラスになるのではないだろうか。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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