宮本恒靖が語る決勝トーナメントの展望 「ベスト16に勝ち上がるのと、ベスト8より先に行くのは全く違う世界」

フランスとオランダは上向き

 宮本氏がグループリーグの中で仕上がりの良さを感じたのはフランスだった。前回大会では大会中にニコラ・アネルカが追放され、それに抗議する形で数名の選手がレイモン・ドメネク監督に造反を起こした。だが、今大会は「一体感がすごい」と宮本氏が語るように、チームの雰囲気が非常に良い。

「ゴールが決まった後に全員が喜んでいるのを見ると、『すごく良い状態なんだな』と感じます。エースのカリム・ベンゼマの調子も上がっていますし、ヨアン・カバイエも中盤ですごく頑張っている。初戦で勝ったことでチーム全体が上向きになっています」

 W杯で勝ち上がるにはチームとしてのまとまりが必要不可欠。豊富なタレントが一つにまとまったフランスは、優勝候補と言えるだろう。

 スペインを5-1で破って、世界中に衝撃を与えたオランダにも、宮本氏は好印象を抱いている。

「オランダは5-3-2、4-3-3とシステムを使い分けていて、フレキシブルに戦っています。そして、ルイス・ファン・ハール監督の要求に応えるだけの賢さを選手たちが持っている。また、ロビン・ファン・ペルシ、アリエン・ロッベン、ウェズレイ・スナイデルが献身的にプレーしているのを見ると、しっかりとしたマネジメントができていることうかがえます。少なくともベスト4までは勝ち上がってくるのではないでしょうか」

 宮本氏は言う。

「W杯はここから先がシビアになります。ベスト16に勝ち上がるのと、ベスト8より先に行くのは全く違う世界です。1試合ごとの真剣度も上がってきますし、どうなっていくのか本当に楽しみです」

 ブラジル、ドイツ、アルゼンチンなど優勝候補が地力を発揮するのか、フランス、オランダなど伏兵が勝ち上がるのか、それとも、ダークホースが出てくるのか――。W杯はここからが“本番”だ。

【了】

北健一郎●文 text by Kenichiro Kita
※ワールドカップ期間中、記事内で扱うシーンの一部はFIFAワールドカップ公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』のマルチアングル動画、選手毎のスタッツデータで確認できます。
詳しくは、「LEGENDS STADIUM 2014 – FIFAワールドカップ公式動画」まで

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