「語り継がれる試合」に見た名門リバプールの美学 現代でも“面白い試合”はできる

両者とも攻め合い、今季無敗のシティにホームで4-3と競り勝つ

「10年経過しても語り継がれる試合だ」

 試合後、リバプールのユルゲン・クロップ監督は興奮気味に話していた。14日に行われたプレミアリーグ第23節で、マンチェスター・シティの開幕からの無敗記録を22試合で止めた。

 この試合が「語り継がれる」のは、単にシティの無敗を止めたからではない。サッカーにとって素晴らしいことがいくつかあったからだと思う。

 まず4-3というスコア。どのリーグでも、およそ1試合に入る平均ゴール数は2点台である。つまり2-0ならほぼ試合は終わりで、0-0や1-0は全く珍しくない。ある意味、サッカーとはそういうゲームであり、今後もこの傾向は大きく変わらないだろう。“負けたら終わり”のワールドカップの決勝トーナメントなどは典型で、1点リードしたらそのまま試合を終わらせられる力を持つチームが、だいたい優勝している。勝つことに徹すると、どうしてもそうなってしまうのだ。

 ところが、このリバプール対シティでは両チームが攻撃を止めなかった。ジョゼップ・グアルディオラ監督のシティが攻撃的なプレーをしたのはもちろん、クロップのリバプールもゴール前に「バスを置く」ことはしなかった。攻め合えば当然隙はできる。だからこのスコアになったのだが、逆に言えば1960年代以降のサッカーがロースコア化したのは、各チームの“姿勢”の問題が大きいということを表している。

 つまり、その気になればサッカーで最も面白いと言われる3-2や4-3の試合は、普通に現代でも起こりうるわけだ。10年に1回ではなく、毎週、毎試合そういう試合ができるのかもしれない。それに気づかせてくれた試合だった。

 

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