松井大輔が魅了された“世界のドリブラー3人” 「閃き」と「スピード型からの進化」に脱帽
「人ってあんなに変われるんだなと…」
そして3人目もまた、リーグ・アンからワールドクラスへと飛び立ったあの男だ。
「対戦して上手かったのはあと1人……リベリー!」
MFフランク・リベリーはフランス代表で長年活躍し、バイエルンではオランダ代表FWアリエン・ロッベンとの“ロベリーコンビ”で両サイドを蹂躙した。松井はリベリーの若手時代をこう振り返る。
「マルセイユの時ですよね。22、23歳の頃、とにかく圧倒的に速かったです。一気にブレークしたのが2005年頃だったんですが、その勢いに乗って(2006年ドイツ・)ワールドカップのメンバーに入ったんですよ。その変身ぶりが物凄いなと感じました。それ以降に創造性あふれるプレーというものも身につけていきましたが……人ってあんなに変われるんだなと思いましたね。
アザールとリベリーに共通して伸びていったのは、“余裕”かと思います。先ほど話した通り、彼らはフランス時代、スピードを前面に出してプレーしていました。ただキャリアを積み重ねるなかで余裕が出て、いろいろな選択肢を持つようになって、プレーの幅が広がってきた。だからこそ、それぞれプレミア、ブンデスに渡ってから本当にスーパーな存在になったんだと思いますよ」
スキルとスピード、アイデアを両立させた2人には、若手時代を知るからこそ大きなインパクトを受けたようだ。彼らのようなトリックスターがいるからこそ、フットボールは楽しさに満ちあふれる。松井が口にした3人の動きは、攻撃で違いを作りたいプレーヤーにとっては大いに参考になるだろう。
【了】
茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno
荒川祐史、ゲッティイメージズ●写真 photo by Yuji Arakawa , Getty Images