数字上では物足りない? キプロス戦のデータから浮き彫りになった日本代表の現在地
強豪チームと比べて日本に足りない「インテンシティ」
この数字は非常に物足りない。というのも、アトレティコ・マドリードやレアル・マドリード、かつて香川が所属したドルトムント、また、今季J2リーグで開幕14連勝を記録した湘南ベルマーレなどは、セカンドボールへの反応と、そこで奪った後のゴール方向への推進力が他チームを圧倒している大きな要因となっているからだ。
ヨハン・クライフ氏は今季のアトレティコの躍進を述べたインタビューの中で、ルーズボールへの対応に必要な要素を「“Intensityインテンシティ”=強度の高いプレー」という言葉で表現している。昨年、ブラジルで行われたコンフェデレーションズカップでも、優勝したブラジルと準優勝のスペインは、そのインテンシティを備えており、ルーズボールへの対応が際立っていた。具体的には、この2チームは他チームと比べ、ルーズボールを奪った後に相手ゴールに向かってボールを運ぶ回数が多く、かつ、ルーズボールを奪われた後に相手に前にボールを運ばれる回数が少なかった。
プレワールドカップと言われるこの大会や先のUEFAチャンピオンズリーグ、バルセロナの優勝を阻止したスペインリーグで浮き彫りになったこの数値が「勝利の法則」のもう一つの条件だとすれば、壮行試合でインテンシティが見られなかった日本は、本大会で勝ち続けるという面では可能性が低いと言わざるを得ない。
現に、相手がボールを持った時に思わず相手がひるむような勢いを持ったアプローチができていたのは長友と、後半から出場した大久保ぐらいだった。高いインテンシティを持ち合わせているはずの本田もコンディションの影響があるのか、ルーズボールの対応では低調な出来だった。