数字上では物足りない? キプロス戦のデータから浮き彫りになった日本代表の現在地
左サイドに比べ、物足りなかった柿谷と岡崎
また、パスのデータで浮き彫りとなったのは、隣や前後のポジションの選手間でのパス交換が非常に多かったということだ。最も頻度の高いパス交換は長友と香川で14本、続いて香川と遠藤で12本、そして遠藤と長友の10本だった。つまり左サイドの近距離のパス回しが主体だったことになる。この指宿のキャンプで試みたサイドチェンジのパスはほとんど見ることはできなかった。
その反面で、本来攻撃のキーとならなくてはいけない2選手の元気のなさが数値に表れた。意図的に「元気がない」という表現を使ったが、言い換えれば、攻撃への関わりが少なかったということだ。エースとして期待されている柿谷のシュートは1本。日本代表歴代3位のゴール数を誇る得点源の岡崎に至っては1本もシュートを打つことができなかった。
ボールを受けた本数も柿谷9本、岡崎18本と彼らの出場時間を考慮しても香川、本田と比較して極端に数字が落ちていた。キプロスのように自陣深く引いて裏へのスペースを消す守備網を敷くチームに対しては、トップへの縦パス、シンプルなワンタッチパスを駆使して下がって守る相手を引き出し、最終ラインの背後にスペースを生み出さなければいけない。決定機をつくり出す上では、トップの役割を果たすべき柿谷、そして、裏への動き出しをストロングポイントにしている岡崎が機能していなかったということがこのデータから見えてくる。
また、この試合で日本のセンターバックの森重と今野がロングボールで相手フォワードと競り合った回数は40回だったのに対し、日本のフォワードがキプロスのセンターバックと競り合った回数は17回と半分以下だった。日本は高さで勝負するスタイルではないため、競る回数が少ないのは当然として、キプロスが日本に対して仕掛けたようなロングボールは本番でも想定される。
日本のセンターバックはこの日、このハイボールに対して70%を超える勝率で勝っていた。だが、問題はその後のセカンドボールの対応だ。ファーストボールでしっかり勝っていたが、その後の40回のセカンドボールの勝率は40%に落ちる。さらに、その40%(すなわち日本が奪った16本)のセカンドボールのうち、相手のアタッキングサード(ピッチを三分の一に分けた時の相手ゴールに近いエリア)まで運べたのはわずか4本のみだった。