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アメリカは「30年後にサッカー界の実権を握る」 米4部参戦の日系資本クラブが描く未来像
「プロ育成リーグ」からスタートした理由
日本ではあまり馴染みのないUSL PDLだが、創設は1995年とすでに20年以上の歴史があり、輩出したプロ選手の数は2000人を超える。「プロ育成リーグ」としてのポジションを確立し、MLSクラブも選手発掘のために毎年スカウトを送り込んでいる。加盟チーム数も創設当初の27チームから、2017年には72チームまで増加した。
USL PDLは大学サッカーのトップリーグにあたる全米大学体育協会(NCAA)ディビジョン1の学生選手を主な対象とし、オフシーズンになる5月初旬から7月下旬の3カ月間のみ行われており、参加している選手の85%は大学生だ。アメリカの大学では学校が夏休みに入るこの期間に選手のトレーニングを行ってはならず、生徒に留学や大学編入などの自由を与えなければならない規則がある。その“空白の3カ月間”に、練習や試合の経験を積ませる目的で作られたのがUSL PDLだったという。
ゼストはこのUSL PDLに、100%の日系資本のクラブとして初めて参戦した。SDSAではすでに野球やゴルフなど数多くのスポーツ事業を行ってきたが、山内氏は「私たちがゼストを作ったのは2年前。作るための下準備でさらに約2年。計4年かかってようやくここまでたどり着いた。アメリカのサッカー自体もヨーロッパに比べてまだまだ認知されていないですし、ここからどのようにして認知度を高めていけばいいかも分からなかった」と、まっさらの状態からのスタートには頭を悩ませていたという。
アメリカのサッカー界に“余所者”が入り込むことは、決して簡単なことではなかった。クラブ経営となれば資金の問題が頭に浮かぶが、重要なのはお金ではなかった。
「仮に何百億円とお金を集めたからといって、MLSにチームを作れるというものではないんですよ。スタジアムの問題などもいろいろ言われますが、問題はそこではないんです。ローカル(地元)に根付いている人間がやらないといけないのです」