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【サッカー分析講座⑥】シュートにまつわるデータ それを紐解けばスペイン代表の強さが明らかに
スペイン代表の強さを示すデータ
あまり表に出てこないので知られていないが、相手ボールを奪ってからシュートまでの時間はチームの特徴を知るのに効果的だ。相手ボールを奪ってから1分以上パスを回してからシュートをする場合もある。
しかし時間をかけてしまうと、それだけ相手の守備組織が整ってしまい得点になるケースは意外と少ない。むしろ奪った後、相手守備の陣形がまだ整備されていない状況でシュートに持ち込んだ方が得点は高まるのだ。
南アフリカワールドカップでは相手ボールを奪ってからシュートまでの時間を全て並べた時、それらの中央値は16秒だった。1試合に16秒以内に何本シュートできたかというデータを見ると意外なチームが上位にくる。それがスペインだ。華麗なパスワークで知られる彼らは、圧倒的にボールを支配してシュートまで持ち込む印象がある。だが、1試合当たり4.25本で意外にもベスト4のチームの中で一番多かったことになる。
スペインの強さは単にボールポゼッションの高さだけではなく、高い位置でボールを奪われた後に取り返す力にある。いくらスペインといえども、相手ペナルティエリア付近での強固な守備網を崩すのは簡単ではない。しかし高い位置で多くの選手が関わる短いパス回しは選手間の距離が近いため、奪われてもそのまま素早く相手のボールホルダーに寄せる事を可能にしている。そのとき相手は攻撃に移行しようと、陣形を崩してパスを受ける位置取りを始めている。そのためボールを奪われてしまうと、再度守備網を整備するまでに時間がかかってしまう。その隙がスペインにとっての絶好機になっていたというわけだ。
ゴールというのは言うまでもなく試合のハイライトだ。ワールドカップではそのハイライトを彩るストライカーのプレーとともに、そのシュートに結び付くプロセスも同時に楽しんで頂きたい。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web