「埼スタへ帰る」の誓いを実現 “屈辱の決勝”から1年、前橋育英を支える結束力

主将不在も準々決勝で米子北に3-0と快勝

「埼スタへ帰る」――。前橋育英(群馬)のイレブンは口を揃えてそう語った。ベスト4入りはノルマ、日本一という高い目標を掲げるなかで迎えた第96回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝。しかし、ピッチの上にはチームを支え続けていた主将のMF田部井涼が不在だった。

 3回戦の富山第一(富山)との激闘で右膝を負傷した田部井涼は、ベンチには入ったが、出番のないまま試合を終えた。米子北(鳥取)を相手に3-0とスコアの上では快勝を収めたが、山田耕介監督は「手詰まり感があった」と、どこか歯切れが悪い。やはりキャプテン不在の影響は大きかった。

 いつもなら守備でバランスを取る田部井涼と攻撃的なキャラクターのMF塩沢隼人が、中盤でコンビを組む。田部井涼は「8割、9割はできると思ったんですけど」と言う状態だったが、山田監督は万全ではないとスタメン落ちを決断。「3年生になってからは初めて」という主将不在の公式戦では塩沢が守備的な役割を担い、2年生MF秋山裕紀がその相棒に抜擢された。

 試合後に田部井涼は、すっきりとした表情でミックスゾーンに姿を見せた。ピッチに立てなかった悔しさはチームメイトが晴らしてくれたという。

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