前橋育英と富山第一で明暗 勝負を分けた「監督の采配」と「トーナメントの妙」
「僕の言いつけ通りに守っていたのが敗因」
1回戦の東海大熊本星翔(熊本)戦は基本システムの3-5-2、2回戦の東福岡戦は中盤ダイヤモンド型の4-4-2、そして3回戦では再び3-5-2と変幻自在の戦い方を見せた富山第一。大塚監督はこの日、選手の疲労も考慮して守備時には5バックと分厚い守備になる戦い方を選んだ。しかし、これが奏功することはなかった。
「うちは攻めるのが好きな選手たちが多いです。結果からすれば、僕の言いつけ通りに守っていたのが敗因かなとは思っています。どこかで攻めさせるのもありかなと思いましたし、PKでもいいかなと思いながらやった。僕の責任かなと思います」
富山第一の采配が裏目に出てしまった一方で、攻撃の主導権を握っていた前橋育英の山田耕介監督にとってはまさにプラン通りの試合展開だったという。「PKの準備もしていた」と語った上で、「富山第一は3試合目だからおそらく最後は動き止まる。それまでは0-0でいいよという話をしていた」との予想はピタリと的中。足の止まった富山第一は終盤、ロングボールを蹴り出すことが精一杯になっていた。
前橋育英は接触プレーの影響で主将MF田部井涼が右足を負傷するアクシデントもあった。本人曰く「右足が動かなかった」という緊急事態だったが、それも乗り越えて勝利をもぎ取った。
富山第一は今大会1回戦から戦い続け、4日間で3試合をこなした。前橋育英はシードでの登場ということもあってこれが2試合目。トーナメントのくじ運にも恵まれたが、それを見越した指揮官の采配が勝利を呼び寄せた。
【了】
石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa
フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web
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