史上初の“埼玉5冠”も全国2回戦の壁を突破できず… 昌平の選手、監督が語った悔い

万全でなかった司令塔、攻撃に精彩欠く

 神村学園は県予選5試合で1失点の堅陣を形成したチームだ。藤島監督は「ああいう粘り強さも学べた」と、相手の忠実な守備と勝負への執着心を褒めた。

 司令塔のMF山下勇希が万全な状態でなかったことも、攻撃に精彩を欠いた原因だろう。昨年12月23日に行われた矢板中央(栃木)とのプリンスリーグ関東参入決定戦1回戦で、以前から悪かった左第5中足骨を痛めた上、数日後には練習中に左膝まで故障してしまった。

 1回戦も先発できず、この日も後半10分から登場。まず左の2列目、続いてトップ下、ボランチと3つのポジションをこなし、軽やかなドリブルでアクセントをつけたが、得点には結びつかなかった。「少しはチームに勢いをつけられたと思うけど、大きな役目は果たせなかった」と、悔しさを封印して淡々と振り返った。

 全国高校総体は初戦の2回戦で敗れるなど、全国の舞台では結果を残せなかった。しかし今季は新人大会から始まり、関東高校大会と全国高校総体と全国高校選手権の3つの予選を制した。4冠は過去に児玉、武南、埼玉栄の3チームが成し遂げていたが、昌平はさらに県S1リーグも制して埼玉では史上初の5冠という偉業を達成した。

 藤島監督は「石井をはじめ、3年生には感謝している」と歴史を刻んだ上級生を称えた後、「相手の足に当ててでも決めないといけないし、(守備を)崩さずに点を取ることも必要ですね」と言い、無失点に抑え込まれた悔しさを最後までにじませ、さらに攻撃力のあるチームを編成する野心を示した。

【了】

河野 正●文 text by Tadashi Kawano

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

 

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