「さすがはJリーグに行く選手」 13大会連続で初戦敗退の秋田商監督、痛恨ミドル弾に脱帽
神村学園MF高橋が決めた決勝ゴールを敵将の小林監督が称える
第36回大会と第45回大会で優勝し、43度の最多出場を誇る古豪・秋田商(秋田)は、今回も初戦の厚い壁にはね返された。最後に勝ったのは、1回戦で益田(島根)に2-0と快勝した2004年度の第83回大会。第85回大会でこの日と同じ、神村学園(鹿児島)に初戦の2回戦でPK戦負けして以来、初戦敗退の不振が続く。これで秋田商として9大会連続、秋田県勢としても13大会続けて初戦で姿を消したことになる。
前半終了間際の38分、来季のJ1清水エスパルス入りが内定している神村学園のMF高橋大悟に決勝のミドルシュートを決められた。高橋に打たれたのは2本だが、小林克監督は「数少ない好機を決めるのだから、さすがはJリーグに行く選手」と脱帽。しかし秋田商にも得点機は何度かあったほか、「攻撃の起点である高橋くんと大山(尚一)くんをしっかり抑えられたし、試合の入り方は今季最高だった」と選手をねぎらった。
課題は承知している。決定力だ。「ゴール前の精度は去年からの宿題。技術があってもメンタルが弱いとダメだし、精神力があっても技術がないと決められない。個の力で打ち破る力とメンタルを鍛えたい」と、指揮官は来季を見据える。
この11月に人工芝のグラウンドが完成。2年後には学校創立100周年を迎える。卒業生でもある小林監督は、第70回大会で倉敷工(岡山)との1回戦で1-5と敗戦濃厚の後半24分から出場した。「16分の中でもいろんな思いがある。下級生は今日の悔しさを忘れないでほしい。来季はプリンスリーグ東北に昇格するので、そこでレベルを上げて全国で勝てるチームを作りたい」と古豪復活に熱い思いを示した。
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河野 正●文 text by Tadashi Kawano
フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web