昌平、2度目の出場で初勝利 PKストップの守護神・緑川が監督から受けた“激励”とは?

「緑川がいなかったら今のチームには…」

 身長174センチと小柄ながら、特に2年生になった昨年からは監督やコーチをはじめ、仲間からの信頼も絶大だ。藤島監督が「緑川がいなかったら今のチームにはなっていないし、あれを止めるのが緑川なんです」と称えれば、主将のDF石井優輝は「彼が後ろにいるだけで僕ら守備陣は安心してプレーできる」と目を細める。

 初出場した3年前は、この日と同じNACK5スタジアムで1回戦に臨んだが、米子北(鳥取)にPKを献上して0-1で敗退。アディショナルタイムのシュートが決まっていたら、またもや初戦敗退の憂き目に遭ったところだ。指揮官は「私も高校時代は年を越せなかったし、3年前も含めて全国1勝の壁があったので、ほっとしている」と子どものような笑顔を見せた。

 藤島監督は千葉の名門・習志野出身で元日本代表FW玉田圭司(名古屋グランパス)と同級生。第77回大会に優勝候補の一角として出場したが、1回戦で伏兵の鹿児島工(鹿児島)に1-3で敗れている。いくら初出場した昨夏の全国高校総体でベスト4入りしたとはいえ、選手権の怖さは身を持って感じていたのだ。

 緑川が1年生の6月、全国高校総体埼玉県予選の前に個人応援歌ができた。「おとこ、おとこ、緑川。おとこ、おとこ、緑川」。「今日の活躍で男になった?」と水を向けると「いや、まだです」と笑った。

 新春1月2日の2回戦で、来季のJ1清水エスパルス入りが内定しているMF高橋大悟を擁する神村学園(鹿児島)と対戦する。秋田商(秋田)との1回戦で決勝点を決めた高橋を、神村学園を止めれば、少し男になったとの気前の良い返事が返ってくるのではないか。

【了】

河野 正文 text by Tadashi Kawano

フットボールゾーンウェブ編集部●写真 photo by Football ZONE web

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング