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【サッカー分析講座④】続・ポゼッション率が高いチームが勝つとは限らない その理由とは
この試合での京都の2得点は、前線のパウリーニョと、ディエゴによるカウンターからの得点だった。「カウンター」という言葉はボクシングなどでも使われるが、相手に打たせてその力を逆手にとる効果抜群のパンチだ。つまり攻めている時はどうしても守備の意識が希薄となる。その構造的な弱点をうまく使った戦術だ。この年、J1の中でも2番目にポゼッション率の高かったマリノスに対して下から4番目に低い京都はカウンターというスタイルで戦い勝利したわけだ。「カウンター」を戦術とするには、ボクシングのカウンターパンチに相当する飛び道具と、守り切るタフさ、そして守備技術が重要だ。決定力の高いフォワードと、堅固な守備を併せ持つことがカウンターを行うためには必要だという事だ。
一方でポゼッション率を高めるためには、ピッチ上の11人全員の足元のスキルに加え、状況に応じたポジショニングが求められる。そういった選手をそろえるには、それなりのバジェットが必要で、そのスタイルを確立するためには時間もかかる。実際、多くのクラブがバルセロナやスペイン代表のような華麗なパスサッカーを目指しながらなかなか実現できていない。
その反面、スピードがあり、シュートがうまいストライカーさえいれば、あとは守備を組織することで可能なカウンターは資金や人材が不足しているチームには採用しやすい。そして、カウンターという戦術は相手にボールを保持させ、それを奪って素早く相手ゴールに目指すので必然的にポゼッション率が低くなるが、あくまでも結果論であり、必ずしも力の差ではない。