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クラブW杯準決勝、ジダン監督と敵将が二つのVAR判定を巡って口にした見解の“相違”
「全ての革新は最初はいろいろとあるもの」
一方のアルジャジーラは、1-0でリードしていた後半2分にカウンターから決めた得点がオフサイド判定になった。相手コーナーキックを跳ね返したところからUAE代表FWアリ・マブフートが独走し、GKと1対1でラストパスを出してMFブスファがフィニッシュ。この時、完全に抜け出していた両選手だが、マブフートがパスを出した瞬間にブスファがボールより前にいたことでオフサイドの判定となった。しかし、映像で見なければ確証が得られないほどに微妙なポジションだった。
テン・カテ監督は「2点目が入っていれば分からなかった」と敗戦を悔やんだものの、VARについてポジティブな意見を述べている。
「テクニカルなものを使うのは良いことだ。お互いにオフサイドでゴールを取り消されたが、我々の(判定)はほんの少しのものだった。こういう状況を見直して決定するのは、スポーツのフェアさを保つ。全てのイノベーションは、最初はいろいろとあるものだが、いつの間にか当たり前にみんなが使っているものになるんだ。だから、良いことだ。2-0になっていれば……という話は止めておこうか」
新しいシステムは、導入直後には問題が起こり得ると受け入れ、フェアなものだとした。
サッカーの世界に新しく導入されているVARは、多くの物議を呼んでいる。しかし、FIFAがこのシステムを推進していく方針を明らかにしている以上は、ジダン監督が言うように「このシステムのベストを探る」必要があり、そしてテン・カテ監督の言葉を借りれば「いつの間にか当たり前にみんなが使っているものになる」はずだ。今回を含めた“モデルケース”の蓄積によって、よりスムーズで受け入れられるものになっていくことが期待される。
【了】
轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images