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迷走ドルトムント、「過去最高のスタート」からの転落 未完成な“ボス流”の弊害
“アヤックスっぽい”形だけでは…
ブンデスリーガでは開幕7試合を6勝1分。数字を見ればスタートダッシュ大成功だろう。メディアも「過去最高のスタート」と報じていた。
だが、それがマイナスに働いてしまったのではないだろうか。内容ではなく、結果に目がいってしまった。実際は勝ててはいたものの、内容的な上積みが見られていなかった点を指摘されなければならなかった。UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ初戦のトットナム戦(1-3)で、相手のカウンターから何度もピンチを招いたことを、もっと重く受け止めなければならなかった。
アヤックスっぽい形だけのプレッシングサッカーでは、対策を見出した相手にいとも簡単に裏を取られてしまう。強豪に勝てないというだけではなく、リーグ第10節のハノーファー戦(2-4)では裏のスペースをポンポンと使われ、何度も決定機を許した。4失点で終わったのが不思議なくらいだった。
上昇のきっかけとなるはずだった前節シャルケとのダービーでは、前半を4-0とリードし、さすがにこれは勝ったと誰もが思っただろうが、後半はシャルケの猛反撃を凌ぐことができず、終わってみれば4-4の引き分け。ドイツメディアでは、後任監督候補の名前が日を追うごとに挙がっている。
ここまでくれば、もはや開き直るしかない。
シャルケ戦の前半に見せていたサッカーは、少なくとも希望をもたらした。怖がってはダメなのだ。DFを8人ピッチに送っても守り切れるわけではない。サッカーでは攻撃の時間がないと気持ちが追い込まれ、押し込まれるばかりになってしまう。選手が勇敢に戦うドルトムントのサッカーを、ファンは待ち続けている。
【了】
中野吉之伴●文 text by Kichinosuke Nakano
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images