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【サッカー分析講座②】データに魂を宿すための方法とは 2010年欧州CL決勝戦でのポゼッション率をどう捉えるか
データに魂を宿すために
そして周辺事情と共に重要なのは、「答えは一つではない。自由に発想せよ」という考え方だ。ここでは、シュートに繋がるラストパスが出た場所について考えてみる。
シュートにつながるパスのうち45%がアタッキングサードから、35%がミドルサードから、そしてディフェンシブサードからが20%というデータがある。このデータを見た指導者は、その哲学や理論によってFWの選手に異なる指示を送るはずだ。
例えば「全体の8割のラストパスがミドルサードより前のエリアから出ている。自陣でボールを受けたら少しでも早く前のエリアにボールを運んでラストパスに備えるように!」と指導する監督もいるはずだ。
一方で、別の指導者が同じデータを見ても捉え方が違えば、送る指示の内容も変わってくる。こう指導する監督もいるだろう。
「相手のゴール前のアタッキングサードで半分弱(45%)のラストパスが出ている。相手ゴールに近いからラストパスが多いのは当然だ。だから相手DFはそれを阻止しようとしてプレッシャーを厳しくかけてくるだろう。しかし、そのエリアより後ろのミドルサードとディフェンシブサード2つのエリアからラストパスの半分以上(55%)が出ている。だから自陣に近い時は取りあえず前に運ぼうという消極的な攻撃ではなく、ピッチ上どこにボールがあろうともゴールに直結するラストパスを意識しておくように!」
データを単なる数字として見るのではなく、そこに試合が行われた背景、環境、当然のことながらサッカーの競技特性、そして伝える人間が誰に何を伝えたいのか、目的は何かという事をしっかり考えておくことが重要だ。
つまり何の目的のために分析するかによってどのデータを選ぶかというセンス、そしてクリエイティブな発想をそこに加えなければいけない。それによってデータに魂が宿るのだ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web