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【サッカー分析講座②】データに魂を宿すための方法とは 2010年欧州CL決勝戦でのポゼッション率をどう捉えるか
「我が社の商品のマーケットシェアは30%です」と紹介されても、その捉え方は千差万別だ。「すごいですね!」と誉める場合もあれば、「まだ圧倒的シェアというには十分ではありませんね」とはっぱをかけなければならないケースも存在する。
「私たちのサークルは女の子が40%もいるんですよ」と言われたら喜ぶべきか、それとも「男が60%もいるのか…」と残念がるのかも人それぞれだろう。また、その「私たちのサークル」がどんな競技かによっても、その比率は表情を変えていくものだ。
例えば競争の激しい清涼飲料水で一つの商品で30%のマーケットシェアはあり得ないくらい高い数値だが、プレーヤーの少ない市場で30%の市場占有率は十分あり得る。数字の背景を知ることで、その数字の持つ解釈が可能となり、それに加えて目的が分かっていれば、その分析はより現実的になってくる。
サッカーの話に戻そう。あるデータがある。2010年UEFAチャンピンズリーグの決勝戦、バイエルンミュンヘン対インテルとの試合ではポゼッション率が約70%:30%(バイエルン:インテル)だった。このデータを見て、バイエルンの方が強く、優れたサッカーをしていると結論付けることは間違っている。実際に2-0で勝利したのはポゼッション率がはるかに低かったインテルの方だったからだ。
ではポゼッション率は意味が無く、低いチームの方が強いのかという解釈も正しいとは言えない。ポゼッション率は、サッカーにおけるパスを繋ぐ技術、試合を支配した力関係を示す指標ではあるがそれだけではない。70%:30%のポゼッション率で0-2という結果を分析するためには、試合の位置づけ(この場合はチャンピオンズリーグの決勝戦であるという事)、チームの順位、ホームかアウェーかという背景やチームがやろうとしているサッカーのスタイル、そして戦力までもが大きく関わってくる。つまり分析をする際、起きた現象だけを見るのではなく、周辺の背景を知っていること、あるいは事前に学んでおくことは非常に需要なステップだ。