二度目の“緊急登板”で覚醒させた「浦和のDNA」 番狂わせも予感させる堅守速攻の精度

クラブW杯準決勝のレアルは“万全でない”

 アル・ヒラルとの決勝第2戦では、MF長澤和輝が2トップから中盤に下がって4-1-4-1になるスタイルだった。堀監督に代わってからの浦和のサッカーは、バヒド・ハリルホジッチ監督の日本代表とよく似ている。アル・ヒラル戦では選手交代や疲労度に応じてFW興梠慎三がトップからサイドハーフになり、逆にFWラファエル・シルバがサイドから前線へ、MF柏木陽介もボランチからトップへと、選手のポジションをかなり入れ替えた。それでいて4-1-4-1は崩さず、破綻なく守れていた。ミシャ方式の浦和は強くて魅力的だったが、“浦和のDNA”はむしろカウンターなのかもしれない。

 クラブワールドカップ(クラブW杯)では、一つ勝てば準決勝でレアルと対戦できる。昨年は決勝で鹿島アントラーズが延長戦へと持ち込む健闘を見せたが、浦和はひょっとするとレアルに勝てるかもしれない。

 クラブW杯は世界大会であり、レアルにとっては2試合で手に入るタイトルなので間違いなく獲りにくる。ただし、準決勝に関しては体慣らし程度のモチベーションでプレーする可能性が高い。世界最高のタレントが揃うレアルといえども、40%程度のプレーぶりなら浦和が勝つチャンスはあるだろう。決勝で当たった鹿島に比べると、条件はかなり良い。

 しかも、現在のレアルはあまり調子が良くない。今季不振のFWクリスティアーノ・ロナウドやFWカリム・ベンゼマが、シュートを外し続けてくれるかもしれない。

 レアルを破って決勝にも勝てば、Jクラブ初の世界一という快挙達成である。もっとも、その前に準々決勝を勝たなければならないわけだが……、浦和はそんな“番狂わせ”を期待できるほど堅守速攻型が板についてきている。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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