浦和の中盤で輝いた“不屈のシンデレラボーイ” ベンチ外から駆け上がった長澤の原動力とは
ハリル監督の称賛から取り巻く環境が激変
それがミハイロ・ペトロヴィッチ前監督から堀孝史監督に交代し、迎えた9月27日のACL準決勝第1戦、敵地での上海上港(中国)戦でスタメン起用されると好プレーを披露。さらに10月18日の第2戦でも素晴らしいパフォーマンスを見せた。この試合を視察に訪れた日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が長澤を名指しで称賛したところから、状況は急速に変わっていった。
クラブでレギュラーをつかみ、11月の欧州遠征に臨む日本代表メンバーに初選出されると、ベルギー戦でスタメン出場し代表デビュー。それまで練習後に彼を呼び止めるメディアの姿などほとんど見かけなかったが、いつの間にか取材を受けるのが当たり前の選手になっていた。そうした状況の変化にも、長澤は惑わされない“不動心”を持っていた。
「良くも悪くも、僕は周りの声を気にしないタイプだから。どんなに騒がれてもやることは変わらないので。今までやり続けてきたことがあったからこそ、立場が少しずつ変わっていっても、やることが変わらなかったからこそ自分も変わらずにいられたんだと思います」
そのやり続けてきたことは、後半30分のプレーにも表れていた。前方がオープンになった相手選手の前にボールがこぼれ、ミドルシュートを打たれる局面になった。それを察知した長澤は、疲れているはずの足で全力スプリントから懸命のスライディングでシュートブロックしてボールを跳ね返した。そうしたプレーを呼んだ積み重ねにこそ、長澤は胸を張る。