浦和の中盤で輝いた“不屈のシンデレラボーイ” ベンチ外から駆け上がった長澤の原動力とは
激動の1カ月半を駆け抜け不動の主力に成長 10年ぶりのACL制覇に大きく貢献
まさに“出来過ぎのサクセスストーリー”を、浦和レッズのMF長澤和輝はアジア制覇で締めくくった。25日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦、本拠地アル・ヒラル(サウジアラビア)戦にフル出場すると、チームの10年ぶり2回目の優勝に大きく貢献したが、その原動力には“不動心”と怠らない準備があった。
長澤はこの第2戦で、2トップの一角としてスタートした。インサイドハーフにポジションし、“中盤のデュエリスト”として存在感を発揮してきた長澤だが、そのポジションは少し意外なもの。しかし、試合開始1分、8分と連続してシュートを放つなど積極的な姿勢を見せた。そして相手ボールになれば、ファーストディフェンダーとして果敢なチェイス。アル・ヒラルのパスワークに対して、驚異的な運動量で対抗していた。
そのシステムについて長澤は「もちろん、あのポジションで入った以上は点に絡めれば良かったんですけど、求められていたのはアグレッシブな守備でした。相手の後ろの選手にプレッシャーをかけられたと思います」と話した。試合途中ではボランチに降りて奮闘し、肉弾戦も厭わずにチームの守備を引き締めた。
長澤を取り巻く環境は、この1カ月半ほどで大きく変わった。昨季開幕前に加入も1年間J2のジェフユナイテッド千葉に期限付き移籍していたため、今季が実質的な浦和1年目だったが、夏まではほとんど出場機会がなく、紅白戦でも起用されるのは中盤ではなく、控え組の右ストッパーを務める状況だった。