浦和、「ミシャ哲学」への挑戦 10年ぶりアジア制覇に立ちはだかる“最後の壁”

“過去”との戦いを制することができるか

 18日の初戦でのプレーを見ても、これまでに浦和がACLで対戦して勝ち上がってきたチームの中で、これほどボールをつないで攻撃してきたのは準々決勝で対戦した同じJリーグの川崎フロンターレくらいだろう。他の東アジア勢の多くのチームは、前線に核となる外国人選手を配置してシンプルボールを預け、その能力に頼るスタイルだった。しかし、アル・ヒラルはそれを否定するようなポゼッションサッカーを披露していた。

 浦和はペトロヴィッチ前監督の後任として堀孝史コーチが昇格したが、そのアプローチ方法は大きく変わってきた。DF槙野智章の言葉を借りれば「自分たちの良さを出すために、相手の良さを消す」という方向で試合前の準備が行われ、ポゼッション志向ではあるものの、そこにこだわることもなくなっている。第1戦でも、サイドのスペースをシンプルにFWラファエル・シルバが持ち前のスピードで切り裂いてアウェーゴールを奪い取った。今の浦和は、低いブロックからのカウンターという選択肢も躊躇なく採用するチームに変化してきている。

 浦和にとってディアス監督が率いるアル・ヒラルとの対戦は、ある意味ではペトロヴィッチ前監督が積み上げてきた5年半の哲学に類似したものと相対することになると言えるかもしれない。結果に対して最大限のフォーカスをする現在の浦和と、その勝ち方にまでこだわろうとするチーム。その対戦の行方は、埼玉スタジアムにどのような光景と結果をもたらすのだろうか。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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