2002年日韓W杯出場に執念も叶わず

　好プレーを続けるバッジョには、日韓W杯メンバー入りへの待望論があった。しかし、大会まで半年を切った1月31日に左膝十字靭帯損傷で全治6カ月と診断されてしまう。誰もが終わったと思ったが、バッジョは懸命のリハビリを経て、わずか77日後の4月21日のフィオレンティーナ戦に復帰。しかし、最終的にW杯へのメンバー入りは叶わなかった。

　後にバッジョは、このリハビリについてこんな言葉を残している。

「私はジムに1日10時間を超えて滞在したこともあるし、ひどい痛みだったことも覚えている。手術後2週間で、私は体重を12kg失った。私は食べていなかったし、感情的で肉体的な痛みのために、いつも泣いているだけだった。その時、タオルを投げ込むことを考えなかったと言えばウソになるだろう。だが、私は全力を尽くして自分自身に挑戦しなければならないと言い聞かせた。私は不運よりも強いと証明したかったし、この夢は膝よりも価値があった」

　唯一の弱点だった膝と若きライバル、そしてPK戦――。運命に翻弄されながら、最後までそれに抗い続けた男は、04年に現役を退いた。結局、W杯の優勝には手が届かず、キャリアでのリーグ優勝も2回、CLの優勝は果たせなかった。それでも、イタリアが生んだ“永遠のファンタジスタ”は、サッカーファンの記憶に残り続けている。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文　text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真　photo by Getty Images

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